目次
進行について
背景
導入、マスターシーン
クライマックス
エンディング
シーン表
3サイクルはすべて同じ日の出来事となります。
サイクル間のマスターシーンは2サイクル目終了時のみです。
狂気カード
狂気カードは通常の狂気カードと本当は怖い現代日本の狂気カードからランダム、
もしくは好きなものを選択して全部で12枚用意してください。
ハンドアウトの数は3+9の合計12個です。
使命と秘密の配布のタイミングは自由ですが、導入時の配布を想定しています。
初心者さんへは事前に配布してもよいでしょう。
導入時で公開する場合、以下の情報を事前に各PCにお渡ししてください。(公開情報ではありません)
PC1:優希が当日の夜にPC2に告白したいとの相談を受け、その前日に二人でおまじないをする。てるてる坊主を作成。
PC2:佐原優希に密かに恋心を抱いている。
PC3:遊びに行く前日、佐原優希が首を吊る夢を見る。
※実際にPC1を担当する人にてるてる坊主を作成してもらい、写真やイラストを送ってもらうと楽しいです。(クライマックス時にてるてる様としてでてきます)
図.ハンドアウトチャート
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PCの3人と共に遊びにでかけようとしていた佐原優希(サハラユキ)はそのうちの一人、PC2に告白するつもりだった。
せっかくだから夜景の綺麗な場所で、そう思っていたが当日の天気予報は曇り。
雨ではないにしろ曇りではせっかくの綺麗な夜景も映えない。
気休めにしかならないとわかっていながらも、佐原優希はてるてる坊主を作成した。
PCのうちの一番仲の良かった一人、PC1と共にネットのおまじないを試したのだ。
「てるてる様のおまじない」
それは複数人でてるてる坊主を作成し、天候と願いを紙に書き、それをてるてる坊主の頭の中に入れて吊るすといったものだ。
なんてことのない、ただのおまじない。
それには佐原優希が気付けなかった秘密があった。
そのおまじないは確かに天候を願ったものにしてくれる。
しかし、そのためには代償が必要だったのだ。
翌日参加した人のうちの一人の命を以って、その願いは叶えられる。
そして今回代償となったのは佐原優希だった。
参加した人物は、永遠に首への違和感がまとわりつく。
佐原優希自身が犠牲となったことで、叶わぬ願いにより晴れの日が続き、さらに一人の代償だけではすまず、共におまじないを試したPC1も代償になろうとしていた。
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登場PCは全員です。
以下の描写の際、キャラ同士の関係を深めておきたい場合など、集合前日の優希とPC達とのロールを入れるといいと思います。
梅雨の時期、「4人で遊びに出かけよう」と言い出したのは佐原優希(サハラユキ)だった。
一日遊んで、夜ご飯を優希のお気に入りの場所で食べて帰る。そんななんてことのないいつもの休日の予定。
「また明日」
そう言ってPC達はそれぞれの家へと帰るだろう。
当日の天気予報は生憎の曇りだったが、遊びに行くのには問題なさそうだ。
そうして翌日、PC達は集合場所へと赴く。
頭上には天気予報とは打って変わっての雲一つない青空が広がっていた。
PC3人が揃っても、時間を過ぎても、一向に優希はやってこない。
連絡をしても返事すらない。
優希が一人暮らしなのもあり、PC達は優希の家へと向かうことにした。
しかし、ドアから呼びかけても返事はない。
誰かがドアが開くか確認すれば、ドアはたやすく開くだろう。
玄関には綺麗に揃えられた靴が一足出ている。
部屋に入ったPC達は何か嫌な感覚を覚える。
熱でも出して倒れているのではないか、
一歩一歩、部屋の中に足を踏み入れていく。
そうして優希の部屋にたどり着いた先でPC達が見たものは、
部屋で首を吊っている優希の姿だった。
さらに彼女はただ首を吊っているだけではなかった。
頭には白い袋が被さり、その白い袋には小さな丸が二つに
袋半分ほどを使った半円が一つ。 顔のようなものが描いてある。
ワンピースを着、首を吊った彼女はまるでてるてる坊主かのようだった。
全員≪死≫で恐怖判定を行う。
優希の死は自殺として扱われた。
そして優希の死から1週間、PC達は再び集まっていた。
優希の親からは、優希が借りているものなどあれば引き取りに来てくれと言われている。
しかしあなたたちはそれよりも、優希の”自殺”について疑問を抱いた。
彼女が自殺をするような人間ではない、それをあなたたちはよく知っているからだ。
優希の死の真相を知るため、PC達は行動を開始する。
※事前のHO配布がなければ導入終了時に配布してください
初期ハンドアウト「佐原優希」「優希の部屋」「インターネット」
HO一覧
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マスターシーン
2サイクル目終了時に挿入。登場PCはPC1と希望するPCです。
PC1はふと、首のあたりに違和感を覚える。触ってみても何もない。
他の人に見てもらうのならば、それでも何もないことがわかる。
しかし、なんだかまとわりつくような何かを感じる。
PC1は≪緊縛≫で恐怖判定を行う。
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描写
小町神社へくると、小町神社は霧に囲まれていた。
かろうじてうっすらと鳥居の赤色が見える。
勇気を出し、霧の中へ入ると鳥居が目に入ってくる。
しかし、その鳥居はあなた達の思うものとは異なっていた。
鳥居にはいくつものてるてる坊主が吊るされ、
不気味なそれは風に吹かれゆらゆらと揺れている。
図.鳥居イメージ
あなたたちがさらに近づいていくと、そのうちの一つが小さな音を立てて地面に落ちた。
PC1にはそれが見覚えのあるものだった。
しかしそれは覚えのあるものより、何倍もの大きさだった。
そのてるてる坊主はすっと起き上がり、気付けば周囲には
顔の描いていない小さなてるてる坊主も集まってきていた。
全員≪魔術≫で恐怖判定を行う。
以降戦闘に入る。
戦闘は全員強制参加です。自発的な脱落はできません。
戦闘に参加するのはエネミー「てるてる様」1体とモブ「てるてる坊主」3~4体です。
戦闘終了条件:てるてる様が戦闘から脱落するもしくはPC全員が戦闘から脱落する
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エネミーデータ
・てるてる様
ルールブックP246 生き人形 参照
攻撃対象:PC1
→キャラクターシート
・従者 3~4体(PLに合わせて調整してください)
攻撃対象:ランダム
脅威度:1 属性:怪異/器物
好奇心:情動 特技:憂い、怒り、歴史
基本攻撃≪怒り≫
→キャラクターシート
モブの数に合わせててるてる様のプロット値を4~6で調整してください。
モブの行動に関してはインセインルールブックp248~に記載されています。そちらを参照してください。
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描写はあくまで一例なのでお好きに変更してください。
従者の数間違えてるけどPC2は優希の好きな人知ったよ!ってときとかはいい感じにしても大丈夫です。
分岐
1てるてる様のみを倒す、もしくは従者を1体のみもしくは
2体より多く倒してからてるてる様を倒す→願いを叶えるまでは
2従者を2体倒してからてるてる様を倒す
PC2が優希の好きな人を知らない→聞こえぬ想い
3「優希のてるてる坊主」を誰かが所持している状態で
PC2が優希の好きな人を知っており、
従者を2体倒してからてるてる様を倒す→雨と共に
4 PCが全員脱落→てるてる坊主
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あなたたちはてるてる様を倒した。
てるてる様を倒すと、残っていた他のてるてる坊主も糸が切れたかのように動かなくなる。
これで全てが終わったのだ。
しかしあなたたちの不安はなぜか拭えない。
終わったはずなのに、どうしようもない不安感が押し寄せる。
PC1の首の違和感も残ったままだ。
そのままあなたたちは1日、1日と過ごしていく。
何ら変わりのない、永遠に晴れたその日常を。
てるてる様を倒すと、残っていた他のてるてる坊主も糸が切れたかのように動かなくなった。
先程までの不安感もまるで嘘のようになくなる。
あなたちは、何かから解放されたかのような感覚を覚えた。
ふと、PC2は一瞬何かひやりとしたものが自分の体を通り過ぎていったかのような感覚を覚えるが、
辺りを見てもあるのは地面に転がるてるてる坊主のみだ。
そしてぽつりと、一滴の水が地面を濡らす。
それはあっという間に地面を、PC達の体を濡らしていく。
しとしとと静かに降る雨は、何かの終わりを告げていた。
てるてる様を倒すと、残っていた他のてるてる坊主も糸が切れたかのように動かなくなった。
終わったのだろうか、そう見ているとふいに声がした。
それはPC2を呼ぶ佐原優希の声だ。
「○○くん……」
優希の体はうっすらと透けている。
「ごめんね、巻き込んで……
あのね、みんなとはもうお別れだけど、でも、どうしても伝えたかったことがあるの。
○○くんに、どうしても伝えたかったの。聞いてくれるかな?」
「○○くん……好きだったよ。
ごめんね、こんな状態でこんなこと言って。
でもね、私のことは思い出としてだけ残しておいてほしいの。
私には縛られず、生きてほしい。
○○くんには、幸せになってほしいから」
そこまで優希が言ったところで、
優希の体が先程よりもどんどんと消えていっているのに気付く。
そして、ぽつりと一滴の水が地面を濡らす。
それはあっという間に地面と、PC達の体を濡らしていく。
優希はにこりと微笑むと言葉を続ける。
「みんな、巻き込んでごめんね。PC1には迷惑かけちゃったね……
PC3も、みんなもここまで来てくれてありがとう。
私と友達でいてくれて、ありがとう。
次にみんなと会えるのはもっともっと、ずっと先の話だと思うけど
それまで私はみんなのこと見守ってるよ。
これからも、みんなで思い出をたくさん作って。
私にまた会ったときに、教えてほしいな。
……さようなら」
そう言い残し、優希はすぅっと姿を消した。
雨の降る中、茫然と優希のいた場所を見ていたが、
プライズを持っていたPCの服から何かが滑り落ちた。
それは優希の部屋で見つけたてるてる坊主だった。
あっという間に水がしみ込んでいく。
そして、頭の中に入っている詰め物とは違う、
折りたたまれた紙がうっすらと見えるようになる。
中を見る見ないはPCの自由です。
中の紙
「てるてる様
私は明日、○○くんに思いを伝えます。
なので、勇気をください。
結果がなんであろうと、晴れていればきっと4人で楽しく帰れるから。
だから、明日の天気を晴れにしてください」
気付けば、あなたたちにまとわりついていた不安感はなくなっていた。
この雨と共に、あなたたちは今回の事件が終わったのだろうということを感じていた。
倒れ伏したあなたたちのもとに、いくつもの小さな影が押し寄せてくる。
顔の描かれていなかったはずの小さなてるてる坊主には、
いつの間にか顔が描かれていた。
小さな丸が二つに大きな半円が一つ。
どこかで見たその笑った顔はあなたたちの顔を見つめながら、
せっせと首を吊る準備をしていた。
2:視線を感じる。一瞬、視界の端に白く揺らめく何かが映った。そちらを見ると、塀の上から一体の小さなてるてる坊主がこちらを見ていた。が、それもすぐに消えてしまった。
3:近くを数人の学生が通り過ぎていく。その中に優希の姿を見つけた気がしたが、振り返って見ても優希の姿はない。
4:木の枝に何かが吊り下げられている。一瞬人かと思ったがただの蔦だ。
5:日差しがあなた達を照らしている。優希と夏の話をしていたことを思い出す。
6:「あーしたてんきになーれ」と子供たちの声が聞こえてくる。どうやら靴飛ばしをしているようだ。
7:ふと最近雨が降っていないことに気づく。天気予報が雨だろうと曇りだろうと、ここ最近はずっと晴れだ。今も日差しがあなたたちを照らしている。
8:ふと窓に目をやると、吊るした覚えのないてるてる坊主がこちらを見て笑っていた。しかしそれも一瞬で消えてしまう。
9:いつもの通学路。太陽があなたを照らしている。
10:目の前を白い袋が飛んで行った。それが笑いながらあなたを見ていると一瞬ぎょっとしたが、改めてよく見れば、それがただ店名が入っているだけだとわかる。
11:カラカラに乾いたミミズが道路に落ちている。危うく踏みそうになったがなんとか避けることができた。
12:ひゅう、と生暖かい風が首を伝った。なんとも言い得ぬ感情があなたの心を覆う。